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ゲーム(主にADV)感想備忘録

歪みの国のアリス~REcollection 感想

Switch【歪みの国のアリス~REcollection】の感想です。

 

※一部重要ネタバレありの感想です。NGの方は以下、閲覧はお控え下さいね。

 

 

歪みの国のアリス~REcollection

©Nightmare STUDIO All rights reserved.

お帰り、僕らのアリス───

      僕らのアリス、君が望むなら

 

公式サイト

alicere.nmp-games.com

PV

youtu.be

感想

不思議の箱の中に詰め込まれた、いっぱいの感情。心に痛みを伴いながらも柔らかくじわりとくる、素敵な素敵な物語でした。
怖いけれど面白い、悲しいけれど楽しい、切ないけれど優しい、そんな愛しさが染みわたる。
もう凄く良いお話でした!終わってしまうのが寂しい気持ちになった程。
深く重い真実がありながら、時にシュールな笑いを誘い、かと思えばゾッとする怖さを見せてきたりと、とにかく世界観もさることながら、読み始めて直ぐに惹き込まれる文章のセンスの良さが光ってます。文句なしに上手い。読んでいて高揚感を感じる。

初出はフィーチャーフォン向けだという事で吃驚。そんな前からあったんですか!知らなかった自分が悔しい。と言ってもガラケー時代でゲームしようとは思ってなかったから致し方ない(笑)。今はスマホ版、Steam版、Switch版でプレイ可能(で合ってますかね?←調べろよ)。因みにSwitchはDL専用でパケ版はありません。

そしてこちらホラーノベルと表記ありますように、惨殺されたり首切られたり、死体がわんさか、血飛沫表現などなどのシーンがありますので、無理な方はご注意下さい。
END数はNORMALEND(BAD?)10、TRUEEND5となってます。

全員ではありませんが、主な登場人物はこちら。↓


物語は親友、雪乃と学校の自習室にいた主人公、亜莉子(ありこ)はいつの間にか眠ってしまったらしく、目覚めると親友の姿はなく、学校は無人と化し、ありえない形となっていた。居るのは大きな口で常に笑ったままの「チェシャ猫」と名乗るフードを目深に被った人物。そして彼は亜莉子を「アリス」と呼び、「さあアリス、シロウサギを追いかけよう」と言う──。
と、スタートから突然日常が吹っ飛び、不思議な世界に迷い込んでいる状態なんですが、合間合間に挟み込まれる言葉が謎めいていて悲しみが隠されている感じが伝わってくるんですよ。

アリス 僕らのアリス
あなたの腕を 足を 首を 声を 僕らにください
あなたを傷つけるだけの世界なら捨ててしまって
ちぎれた身体は狂気に包まれて穏やかに眠る
さあ 目覚めることのない 悪夢をあなたに

こういった風に冒頭で早速くるんですが、これがどういう事なのか、どう繋がってどんな真実が隠されているのか、そこを最初からグッと掴んでくるのでストーリーを追うのが楽しかったです。
出てくるキャラクター達がまた怪しく怖げなグラフィックなんですが、それぞれ全員そらもう超濃ゆい!ハリネズミなんかは可愛かったりするんですが、あんぱんが擬人化してマッチョなオッサン姿とか(頭は白ゴマとか乗っかってる/笑)、ストロベリージャムパンな子らは微妙に怖かったりと、シュールでいて言動が怖くも面白かったりするんで、そこに適度なツッコミ入れるアリスが読んでいて笑っちゃって面白い。最後までやっちゃうと皆憎めないんですよ。アリス食べたがったり首切ろうとしたりするけど!(笑)皆本当にアリスが大好きで大好きで、「僕らのアリス」がどれだけ大切な言葉なのかが分かると、終盤や結末はもう感情クソデカになります。
キャラクターではやはりチェシャ猫が大好きです。アリスの心の拠り所になっていく存在で、彼の在り方がまた何とも言えないぐらい愛しい。
廃棄くんも好きでした!何か粋なんですよ。男らしいし、ツッコミも良い(笑)。
この不思議の国が実は何であるのかは、途中でこうなんじゃないのかなと予想はしていたんですけれど、やっぱり虐待からくる精神を保つ為に創り出されたものであり、それがどう影響し、現状と絡み合ってくるのかという、何層もの真実があって終盤は本当悲しい思いに駆られます。悲しいと共に深い愛情を感じられる。脆くも強くもある彼女の心を、それぞれの形で救ってあげたいとする不思議の国の住人達。歪であっても、狂気の果てとなっても、ひたすらに願うのは大好きなアリスの為のもの。これが本当堪らないんですよ。もうどう言えばいいのかな語彙力の無さなんですが、物騒な事言われてもされても憎めない。
現実キャラでは叔父さんめちゃ良かったです。ちょっと不器用で強面だけど面倒見よくて良い人って、私の好きなタイプ!←
特にチェシャ猫はTRUEEND(チェシャ猫)見たら「もう好きだっ!一生彼女についててあげて!」って願っちゃいます。首だけだけど(笑)。
先にも書きましたがTRUEENDは5つあって、メインがそれぞれチェシャ猫・シロウサギ・母親・叔父・武村とあり。どれも繋がってるんですが、武村はゾッとします。叔父さんこのまま守ったげてーっ!!と。いや、あの人の執着凄すぎないですか。まともそうで超変態だし。一番嫌な予感当たってて気分悪くなったわ。お母さんもなあ…何か色んな悲劇が重なってしまってるんですけれど、愛していなかったわけじゃない事だけはきちんと伝えてあげてほしかった。お母さんに殺されるくらい嫌われてる自分を拒む為に、殺される前に自ら死のうなんて選ばせてしまうのはアカンて。この辺り痛くてしんどかったです。親の身としては辛い。
でもそれでも最後の最後に生きようともがいていた彼女の心があった事、だからこそその為に在るからと、望むままに願いを叶えようとするチェシャ猫達の想いの終盤が泣ける…!!彼女の歪みを吸い上げ続け、狂ってしまうまでになったシロウサギとか、TRUEでまでもその代わりを行おうとするチェシャ猫とか、好き過ぎるだろこんなん!!です。
そんな全てを知って受け入れたラスト、亜莉子が不思議の国の住人達に向けた言葉がじんわりくると共に、彼女に心から幸せのエールを送りたくなりました。

わたしはアリス
あなたたちのアリス
わたしの幸せがあなたたちの幸福だと言ってくれるのなら
わたしはいくらだって幸せになるから

幸せであれ!
プレイ出来て良かったです!ありがとうございました!

 

それでは(*'▽'*)ゞ

 

see you next time!