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ゲーム(主にADV)感想備忘録

神凪ノ杜 五月雨綴り 全体・キャラ別感想

Vita『神凪ノ杜 五月雨綴り』の感想です。

※辛口感想&ネタバレありますのでご注意下さい。

 

神凪ノ杜 五月雨綴り

©2018 Matatabi

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雨の中、手を伸ばす
  どんなに悲しくて苦しくても、
    大切な記憶がこぼれてしまわないように

公式サイト

matatabi.tv

PV

youtu.be

OP

youtu.be

物語

■妖狐奇譚
木南瑞希は、幼い頃から人には見えないものを見ることがあった。
たった一人の家族である母は、そのことを絶対に誰にも言わないよう彼女に言いつけ、彼女はそれを守って生活していた。
ある雨の夜、部屋の窓から外を眺めていると、傘も差さずに通りを歩く人の姿を見つけた。
その人は、三日前に亡くなったはずの母によく似ていた。
─── 雨の夜に、死んだ人が帰ってくる。
母の葬式で聞いた噂話。
まさかと思いつつも家を出て母の姿を追うと、そこに居たのは一人の妖の青年だった。
「お迎えにあがりました」
父方の祖父の家で働いているというその青年は、そう言って彼女の前に跪いた。
青年に導かれ、都会から遠く離れた田舎にある『雨月村』にやって来た彼女は、病で伏せっている祖父の代わりに、神や妖に関する問題を解決する『よろず妖屋』を任されることになり ─── 。


龍神奇譚
目を覚ますと主人公は見慣れない部屋のベッドに寝ていた。
ここはどこだろう……そう考えかけて気付く。
自分が、自分の家も、名前も、何もかも忘れてしまっていることに。
記憶を失った彼女は、しばらくの間高校を休んで、家業だという『よろず妖屋』の仕事をすることになる。
屋敷に住む妖や神様に助けられながら、懸命に仕事に取り組む主人公。
しかし、村で行われた灯篭流しの祭りの日を境に、彼女は自分の両親の死の謎、そして数百年前から隠され続けてきた、雨月村の真実を知っていくことになり ─── 。

 

 

全体感想

神凪ノ杜、PC版2本で発売されていた【妖狐奇譚】【龍神奇譚】がVita移植で一つになった作品。PC版は未プレイです。
分岐が特殊でした。攻略見てやってた筈なのに一度間違えた(馬鹿)。
攻略順はオススメの通りに妖狐キャラから龍神キャラで。
PC版からVita追加要素は各キャラのショートストーリーらしく。ボイス有りなのは最初の一話だけ。スチルがあるのは最後のエピソード。甘め。
高耶編と黒雨編がありますが、こちらもボイスはなし。スチルが一枚。高耶&早苗、黒雨&文乃のお話でした。
正直、高耶は東雲ルート以外印象良くなかったんですが、こちらは早苗さんへの思いが深く掘り下げられてたので読んで良かったです。でもこれアナザーENDなのかな?救済がありました。

システム、反応速度が鈍いです。場面転換などやたらゆっくりで、停止と言った方がいいくらいの速度の時も。最初フリーズしたのかと思った程。全体もっさりで設定画面、選択肢の移動カラーも見難く、地味にストレス。
後、音割れが酷い。特に市丸の興津さんの時によく起こってたのでテンションダウン。折角のいい声がーっ!!全体音質悪くてどうなってんの、って嘆いた( ;∀;)クリアに聞こえなくて雰囲気良くしても音や声が散々で台無しな所多々。
スキップ機能はあるけど未読部分でもないのによく止まり、妙な停止時間の後にスキップ再開。ジャンプ機能が便利だと思ったら未読まですっ飛ばすものだから個別使えない!(笑)未読で止まらないジャンプ機能って本当やめて…_| ̄|○

絵は女のコも可愛らしいし、攻略キャラは恰好良いし、とても素敵だと思います。絵も惹かれて購入意欲の一つになったので。
雨のシーンが多かったんですが、塗りも綺麗だなーって。雨が弾く描き方が好きでした。

雰囲気買いしたような作品なんですけど、多くは雰囲気とキャラの良さで押し切った印象。
この作品高評価の方が多いみたいなので、私マイナーな感じ方なんだと思います。ちょっと正直合わなかった作品になってしまいました。
何と言っていいのか…攻略キャラはとても素敵なんですが、シナリオの方にはほとんど響くものがなかったです。切なくも温かなお話になってはいるんですが、どうも気持ち入ってこないし伝わってこない。
これ文章が合わないのかな。たまに読みづらいっていうか、描写が「…何だって?」って唸りたくなったりするようなものがあったり(私が馬鹿なのか/笑)、どうにも慣れなかった(*_*;
細部が色々中途半端な感じのままで、何かと犠牲になるものを入れてくるし、スッキリ気持ちのいい終わり方ではなかったのが多い。で、あっちはどうしたの?そっちはどうなったの?みたいな、端まで畳めないまま終わったような、引っかかったものをそのままにして終了させられたような、そんな感覚。
かなり重責で究極選択である浸食による『禊』の力にしても、割とあっさり口にして実行してしまうので、えっ、て驚いた。やらないと死んでしまうにしても、一切の記憶を失わせるものなのに「これは浸食だ」「仕方ない禊を…」ってくだりが早いっ、早いなーって。もうちょっと葛藤ないの?って。
お祖父さんの事もですが理解出来ない事が多く、真相知っても今一つな位置だったなぁと。高耶も…やたら瑞希に向ける殺意のベクトル、蓋を開けてみれば理不尽さに八つ当たりしてしまったっていうのが…いや確かに早苗さんは何でっていう悲劇でしたけど、瑞希ちゃんが自分で何かしたわけでもなく、被害者の一人なのにおかしいよなーって。
この作品、部分部分『緋色の欠片』を思い出す似た感じもあって、それが片隅に引っかかってた事もあり、何かなーって思ってしまったのも良くなかった一つだったと。どっかで被るので身が入らなかったです。
でもキャラとか一人一人の魅力はとてもあります。市丸さんや旭とか特に良かったので、ストーリーが合わなかった事がしんどかった( ˘ω˘ ;)
妖狐奇譚より、龍神奇譚の方がまだ面白さはあったかなと。妖狐奇譚は市丸さんのルート以外はかなり薄い印象でした。
それぞれ抱えるものの重さはあり、そこから人と妖、神様との優しさ、哀しさ、苦しさなど描かれてるんですが、贄やら村人の命云々の真相には只々「…なんじゃそりゃ(゚Д゚)」ってしか思えず。そこから東雲EDでの主題歌入るあのラストシーンでこの村の景色をどうこうとか(ざっくり過ぎ)で、「はぁ…、んー…、ん?終わり?」って、ちょっと数秒フリーズ。
キャラは本当に良かったんです。けどごめんなさい、私にはちょっとこの作品のお話の良さは分かりませんでした。こういう感想の奴もいるんだなと思って下さい(^▽^;)

 

キャラ別感想

木南 瑞希/主人公

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まず思ったんですけど、この制服デザイン、学生時代にこんなのあったら絶対着たくないな!(笑)いや、お洒落なデザインですけども、白いセーラーワンピースにあのミニ丈標準!?って。短すぎないですか。立ち絵が出る度にスカート丈が気になって気になって(オバサン思考)。
まあ、創作ならではのデザインなのでしょうが、女子の学生服に白いスカートは抵抗が拭えない(笑)。
特に悪目立ちする部分もなく、優しく控えめで大人しめのいいコなんだなと思えるヒロインらしいヒロインなんですが、ここが良いな、好きだなとか、そういった個の部分での良さも特に感じられないままでした。
恋愛モードに入ると割と積極的な方に感じられ、特に宋太ルートのラストでキスしたいけど昼間だし場所が場所だから…って抑えようとする彼に、「人ならいないし、私は気にしないけど」ってサラッと言ってのけたのには若干引いた(笑)。
いや、そういう強請る甘さって可愛いなって思えるヒロインもいるんだけれど、彼女の場合はちょっと私の中で違ったみたいで。
始めにお母さんを亡くし、いきなり現れた妖の旭から初めて父方に祖父がいる事実、顔も知らないのに両親と一緒の写真見てほぼ疑わず信じ、今まで音信不通だったのに急に引き取りたいと言ってくる怪しさなのに、学校通わせてくれるなら…って即行きますな思考にはちょっと軽いな!ってついていけなかった。
何もかも片側情報だけで、不確か過ぎるにもほどがあるのに速攻に祖父を名乗る人の代理人(妖か)に引き取られる事、普通了承出来るだろうか?と疑問がいっぱいです。
家業のよろず妖屋の件も祖父の家に来て即やってくれないかだし、それもうんうんと素直過ぎるほど受け入れるのもえぇぇー…?(;^_^)?って。
色々基礎土台を組まないとメインストーリー入れないから手早くいきましょ!って感じがして何だかなぁ~でした。
綺麗ごとな発言は確かに多いけど、そこはあまり気にならずでした。


沢木 宋太 CV:八代 拓

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一番シナリオ薄かったかな~。
お母さんの件に関しては色々どこかで見たエピソードでしたが、結局最後まで亡くなった兄の方を未だ宋太に重ねたままで、変化してない感じが残念。少しは反応してあげて!って思うんだ。息子はどっちもお馬鹿でも可愛いよ!←
人当たり良く、何でも自分でしてしまうのは、お母さんに亡くなった兄ではなく自分を認めてほしい見てほしい所からきていたのが…良い息子さんじゃないかっ!ちゃんと見てやれよ母!!←
でも松永君の件は今一つ。奴も奴だが盗難のあれは庇わなくてもと思ったり。そして彼も妖憑きだよ浸食されたよ禊!なスピーディーさに呆気に取られた印象しかない(;^ω^)やっぱ何か禊の事あっさりしてる気がする。
踏み込まれると「関わらないでくれ」オーラ満載だったのに、くっつくとベタベタな甘い感じに面喰いましたが(笑)、アオハルっぽいピュアな甘さで爽やかでした。
彼のルート、何にも解決してない気がするけど(言うな)。


仁科 直 CV:梅原 裕一郎

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弟の葵くんが可愛い。そして料理上手な兄。毎朝あんな丁寧なご飯作れないよ私(笑)。←駄目な主婦
こんな出来の良い息子二人なのに、両親がクズ過ぎる。父親は最期罪滅ぼしって感じでしたが、そもそも子供置いて消えるなよ!母親に至ってはヒールで顔踏みにじりta…(止まれ)
えっと、仁科先輩ですね!最初無愛想でデリカシー無いわで顔だけ料理だけか!(酷)みたいだったんですが、好きなコは揶揄いたいとか、小学生レベル(失礼)な愛情表現で、クールかと思ってたら意外に可愛らしかった。
くっつくと嫉妬するわべた惚れ具合がいい感じの甘さ。結構手が早いだろうと思います(*-ω-)


市丸 CV:興津 和幸

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黒雨の半分に分かたれた存在。妖狐奇譚ではメインキャラ。っていうかほとんどこの人が持っていった感。
最初はこれまた仁科先輩と同じく…否、それ以上に素っ気ない態度の市丸さんですが、デレたらめっちゃ良かった!!
打ち解けていく囲碁や花火のシーンはムキになる程の負けず嫌いが出て可愛かったり。
瑞希ちゃんの作ったカップケーキを東雲さんだけ食べた事に不機嫌露わにしたり、珈琲飲めないのにカッコつけて飲んだりとか、何気に素敵お茶目要素満載でした。
また興津さんの愛情こもってくる声のトーンが良いんですよー(≧▽≦)再生したわっ。
真相の一つでもあるのでシナリオもまだ身が入りました。結末は手放しの幸福ではないものの、残る幸せな時を満ち足りて過ごしてる感じが良かった。


旭 CV:江口 拓也

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とてもひたむきな想いが綺麗で切ない旭。旭良かったーっ!
機械的な感じすらする対応を崩さなかったんですけど、ひたすら瑞希ちゃんを助けたい、殺させたくない一心だったのが泣ける。
契約に縛られながらも抗える限界まで必死に守ろうとする、その姿と瑞希ちゃんを何よりも代えがたい大切な存在として愛しく想う心が尊い彼。
感情面が出てくる所、終盤で瑞希ちゃんの母を手にかけたのが自分ではなかったと涙する所、愛情を吐露する所、全部良かったです。
これまで不条理に苦しめられた分、幸せになって頂きたい。
そして彼らも色々あったのは分かった。分かったけどそれらを踏まえてもジジイ(ジジイ呼ばわり)と高耶のした事は許せん!!と思います。


日向 CV:柿原 徹也

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このタイプって私あまり萌えないんですけど、いや実際萌えるって程ではなかったけど(どっち)、凄く良かった日向くんでした。
瑞希ちゃん一番、とても大切な所がずっと一貫していて、それがくどくもなく心地よい愛情が伝わってくる日向が可愛い。怒ってても可愛い。
でも贄の事を知って説明なく黙ったまま連れ去り、言う事聞かすのは怖がらせちゃうって!と思いましたが、それも両親を失い唯一残った身内の祖父が孫を贄に…な事実を知って傷ついてほしくないとう優しさから。めっちゃいいコ!!
大切さがとても伝わる愛情表現が可愛いのいじらしいの真っすぐなのと、見ていて本当ワンコ(怒られる)。
結末は瑞希ちゃんが妖になってしまう選択をするんですが、幸せの形としては代償はあるけれど良い形だったのではないかなと思えた二人でした。


東雲 CV:松岡 禎丞

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サブタイトルが龍神奇譚で最後じゃないと攻略できなくて、姿がまさに龍神っぽい!(笑)って感じで堂々真相メインの人(神様)でした。
他ルートでは重くなりがちな空気を緩和させるほんわかな役回りでしたが、本ルートは正体が知れると憂う神様な所も出てさすがの松岡さんでした。
これ…文乃さんが悪いわけでもないんですけど、空回ってしまった悲劇が過ぎた真相でした。でも贄の件…ちょっと気に食わないのは(←)文乃さん、自分の生まれ変わりも贄に捧げるとかって安易に言っちゃうのはどうなのかと。それが後の悲劇であったし、そんなのちょっと考えたら分からなかったのかなって。生まれ変わりって言っても自分じゃない、別人なんだよ。生まれる前から勝手に贄に決められちゃ堪らないに決まってる。
村人の命は救いたいのに生まれ変わりはいいんかいって言いたくなる。ちょっと何言ってるかわかんない。一番ツッコミ入れたわ。焦ってたかもしれないけどあれは浅慮でしょ。
全体感想でも書きましたが、正直真相は何だかなぁ~と唸りたくなる。どうも分かったけど分からん!みたいな(お前が分からんわ)。ちょっと不可解でした。自分が理解不足なのかもしれないけども。
で、ラストは…うん、まあ…別にご都合展開じゃなくてもいいとは思ってますけど、何かもう一捻りほしかったかな。主題歌入るわ皆が動くわで、なんぞ山場シーンがあるのかと期待したら、眩い村の景色で終わった。あれ?って(;・∀・)

只々私がこの作品の相性合わないだけなんです、すみません!

 

それでは!

see you next time!