げーむしたよ!

ゲーム(主にADV)感想備忘録

powdergray-パウダーグレイ- 全体・キャラ別感想

PC【powdergray-パウダーグレイ-】感想です。

 

BL成人向けゲーム作品です。
ネタバレに関しては、全体感想はある程度ネタバレがないようにふんわり書いてますが、全く触れてないわけではありません。キャラ別感想は完全ネタバレです。
苦手な方、ネタバレNGの方は以下の閲覧にご注意下さいね。

 

 

 

 

powdergray-パウダーグレイ-

使用画像の著作権は、cream△/乃花こより様に帰属します。

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公式サイトは下記からどうぞ※高校生含む18歳未満の方の閲覧禁止※

powdergray.jimdofree.com

 OP&PV

 

 

Story

心臓病を患う主人公・さとみの余命は1ヶ月を切っていた。
幼馴染の医師・文世の提案で残りの日々は同居することになり、2人は都会で新しい生活を始める。
…そんなある日、さとみは街中で殺人を目撃してしまう。
快楽殺人犯・染に追い詰められるも、いきなり愛の告白をされ…?

-愛で死を繋ぐBLサイコサスペンス-

 

全体感想

Twitterから知って雰囲気とお話に興味を持ち、神崎さんもご出演と知ってPVで一気に購入意欲に至った作品です。パッケージ版はステラワースさんで購入出来ますよー。
パッケージ版の場合、起動方法にひと手間かかるので公式サイトで手順を確認要。

OP、EDの曲、BGMといずれも良かったです。演出もお洒落~♪私好みでした(≧▽≦)
耳に入りやすく、BGMも馴染みよく違和感もうるさすぎもせず、シナリオ内に邪魔せずナチュラルに入ってくるのが好感触。
気になったのはOPとED曲で少し音飛びと音割れがありました。これ、私のPCのせいかな?とも思ったんですが、どうなんだろう。

短編なのでプレイ時間は約2時間と記されており、攻略対象も2人。END数も2つなので一人1つのみ。一本道で終盤のEND分岐、染と文世のどちらのENDを選ぶかの選択肢が1つあるだけです。
ENDは手放しのハッピーエンドはなく、メリバ寄りと言えるのかも。ただ、染のENDを単純にメリバと言えるのかと言えば、そうじゃないし…と形容しがたいんですが、幸福に満ちたENDは一切ないので、受け入れられない方や苦手な方はプレイ注意。

設定上、殺人犯キャラがいるので短編ながら人を殺めるシーンなど血の表現が多め。スチルも画面も真っ赤っかーっ!がありますので血が苦手な人も注意。
音の調整は環境設定で変更できますが、ゲーム中に時々入る演出のノイズ音が普通にしてたら非常に大きく聞こえるのでビクッ!!Σ(゚Д゚)ってなりました(笑)。あの音怖いっ、という方はあらかじめ小さめにしておくのがいいかも。

濡れ場は表現はソフトです。短いですし、あっさりめ。でも所謂アレな時の挿入音とか最中の音とかはそんな大きくはないんですが入っているので、喘ぎも入っているので、スチルもバッチリなので、ご家族の目が届かないのを前提にプレイをーっ(笑)。
ちょっと台詞に擬音入るのが苦手だったかなー。まあ、これは個人好みだと思います。

『愛と死の』ではなく、『愛で死を繋ぐ』に、プレイ終えて納得。確かに繋いでました。そしてさとみくんへの愛情、残り僅かな『生』と来たる『死』に対し、攻略対象である二人のそれぞれの持つ表側のイメージが反転させられる流れが上手い。
人を殺め、サイコパスコンビとされる染とラムシンに温度を感じるのに対し、命を救う立場である文世と八渕に温度がない感じを受けるのが、それぞれのENDを物語っているのかなぁ、と。
染のENDに向かう流れは良かったね…!な喜びからの衝撃と切なさと、心に染み入る何かとでどう言えばいいやらの語彙力欠如なんですが、彼がとても好きになりました。

背景は線画でシンプルなんですが、グレーがかった寒々しい薄いカラー加工が、さとみの絶望しきった心の目が現実を映している色のよう。なので彼の心が動かされる時など、そのシーン部分だけ背景が綺麗な色彩になってたりした変化があり、そういう変化も惹きつけられます。全体、演出が非常に好きで、台詞回しも良い。

残念なのはこのシナリオ、もっとお話膨らませてほしかった…!ぐらいに思える程短さが勿体ない面白さで、魅力ある作品。
ラムシンくんとかともっと絡みがほしかったし、八渕さんも過去シーンだけでなくリアルタイム登場で更に悪魔的に(笑)引っ掻き回してたりとかしてたら…と、思うだけでワクワクするので、中編ぐらいまでに延ばして見たい!END数も増やして出来ればこれぞハッピーエンドなる幸福な二人も見たかった!と、個人的願望ですっ。染とか難しいと思うけどっ!←

端から端までこのパウグレの世界観を貫き通した、丁寧に作られた作品。
短いながら先の展開にドキドキして楽しめました。
やっぱり染ルートが好き!!ラムシンくんも好き!!
前作はジャンルがホラー要素なので手は出してませんが(←ホラー苦手)、また機会がありましたら新作でもパウグレボリュームアップ版(勝手に言ってるだけです)でもプレイしてみたいと思います。

 

キャラ別感想 

窪平 さとみ /主人公 CV:佐野 裕理

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小6の時に交通事故により心臓病を患い、長くは生きられないと余命宣告され続ける23歳。文世さんもですけど絵のタッチのせいか実年齢より若く見える。始めぱっと見た時高校生かと思うくらい可愛らしい顔立ち。
この事が原因による家族崩壊が、何故そうなると目を覆いたくなる。さとみくんが余命宣告された事でおかしくなってしまった母親は、息子を助けたい一心で藁にも縋る勢いで神頼み的に宗教に入信し、そのまま入れ込んでしまったか何なのか、旦那さんや救おうとしていた息子すら捨てて行方をくらまし、それにメンタルやられてしまった父親は心の病気で遠方の地にて病院生活…いやもう、何しとんねん、おかんっ!!!って叱り飛ばしたくなりました。
自分が事故に遭った事で全ての歯車が狂ってしまい、何をしても頑張っても上手くいかず、残った余命も人に迷惑しかかけられない存在の自分に絶望してしまうんですけど、でも「自殺は駄目だ。罪だ」が一貫してある。何故なら「迷惑がかかる」から。ここの所が本質的にとてもいいコなんだなぁと思わせます。普通に死にたいってここまでやさぐれちゃったら、後なんかどうでもいいや、どうせじきに死ぬんだから!って後先考えずに自殺を選んでしまう気がする。
8年前、染との初めての出会いの時の精神状態が不安定だったせいか、あの「俺を殺してくれないかな。殺していいんだよ。大丈夫、したいんでしょ?怖いなら、俺が味方してあげる…許してあげるから」のくだりの仄暗さが今よりグッと大人っぽくて実は好きだったりします。←
染ルートで染にイルミネーションを見せてもらって綺麗だと感じた時、生きたいと、世界がこんなに綺麗だと知らなかったと、彼が心動く時に背景が色を成して輝くものに変わるのが印象的でした。あー、出来れば染ルート、生きててほしかった…( ;∀;)

 

藤原 染 CV:晴森 ユーヤ

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20歳。『染』と書いて『せん』くん。誰よ、漢字だけ見て「そめ…?(´ºωº`)」って読んじゃうお馬鹿な奴は!(お前だよ)
綺麗なオッドアイと晴森さんの柔らかで落ち着いた声音と所作が印象的な、趣味が人殺しと言い、人を殺さずにはいられない快楽殺人犯(こう書くと凄い)。
もう手の施しようがないんじゃな、人を殺めたい衝動を幼い頃から持ち、何の問題もなかった家庭環境にありながら、自分の家族すら焼き殺しても微塵も動かない心が異常も異常。
なのにマイペースで天然すっとぼけ感がギャップなせいか、快楽殺人者たるのに妙な緩和力が発動されてる気がする。不思議な味のあるキャラです。重い設定なのに重くない空気感がある、そんな感じ。
個人的にチンパンジーの真似をする「うきー」の棒読み加減が好き(笑)。
こんな彼ですが、さとみくんには本当に真っ直ぐで一途。好きで好きでたまらない感が可愛らしいくらいに、さとみくんへの恋情は純粋。
過去、唯一【殺める】行為を許してくれた存在(さとみ)との再会。誰もが認めはしない異常な衝動を持つ自分を認めてくれた人。そりゃ惹かれるかーって納得も。再会時のその時に一目惚れしましたって言ってましたが、あの8年前の小6の頃の出会いが一目惚れでそこからずっと好きって感じ。
ラストの展開って上げて突き落とされる衝撃展開で、マジかーっ…マジですかー…っ、って間違いであってほしいけどきっとそうなんだろうなの、哀しいシーンで呟き止まらず。好きだって両想いになって、さとみくんも自覚して「染が好きだ」「会いたい」「生きたい」この気持ちを伝えたいってなり、染もずっと変われなかった自分がさとみくんの為なら変われるんだってなって、幸せになれる目前で車の衝撃音と共にさとみくんの訃報。そして葬儀の日、さとみくんが見送られる寸前に棺に現れる染。迎えにきたって言う言葉、涙と笑み。死しているのに返されるさとみくんの声。もう、何これーーっ、泣くって!!みたいな、最後の最期のひと時、とても綺麗な二人の姿でした。
染は自身の家族すら殺害して他にも多くの人を殺めてきたから、手放しの幸せに…っていう道はなかったのかもしれないので、このENDは完全ハッピーエンドではないかもしれないけれど、嬉しそうに笑む二人が見られたのは良かったと思える結末でした。

 

温井 文世 CV:神崎 智也

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27歳。温井総合病院の医師。医者の家系なのかな?スーパーエリートですよね。
カッコイイお名前、 『はるい あやせ』さんです。PVで初めてお名前を見た時、画面下に読みがふってあったのに、まんま『ぬくい ふみよ』と読んでしまった、私のセンスの無さに自分で笑いが(ホント、つくづくセンスない)。
PVの最後でゾクッとする不穏な神崎さんボイスから、この穏やか温和そうなイメージと違って内面ちょっと闇が入ってる人なのかなー?とは思ってたんですけど、想像以上に闇深し!怖いっ!スチルのあの狂気めいた目がめっちゃ怖いです、文世さんっ!もう誰だよって感じで殺人者の染くんより殺人者っぽい豹変ぶり(笑)。
同棲を提案するわ、生活費全般自分持ちだわ、囲い方凄い割にはぱっと見にはそこまでさとみくんに執着してるようには見えなかったので、掴みどころないなぁーって思ってたんですけど、まさかあんな凄まじい程病んでる属性深々ぶっ刺し系とは思わず!なんかあれです、神崎さんボイスにも騙された!(笑)
濡れ場に入っても終始労わってたし、でも恋人関係でもない、さとみくんは性欲処理に求められてるのかなとか言ってるしで、どうなってんのとか思ってたら過去医大時代シーンでおいおいおいっ、って事実発覚。さとみくんの心臓病、本当はこの当時で回復って!!いや、何で今度こそ確実な(しかも日にちまで限定)余命ってあって、そんな事あるかいなっておかしいなー、何ぞ隠してんでしょっ!とは思ってたけど。
それをずっと好きで手放したくないけど、病気が治れば自分はもう必要とされなくなる、傍にいられなくなる、そんなのは嫌だから完治するとは言い出せなかったと。これ、入院先が彼の父親の病院じゃなけりゃ文世が自分で病状は報告するとか、そういう隠蔽は出来なかっただろうなーと思うと、さとみくんは不運だったんだなとしか(>_<)
つーか、そんなに好きだったんかいっ!って。←私が鈍感なのか
しかしそれでもよくバレなかったなぁと思うんですが、さとみくんの孤立環境も合わさって乗り切れたのかな。
そこでダークな悩みの中に現れたのは魔王(勝手に)八渕さんですよ。怖いわ、あの人っ。
結局、八渕さんの悪魔な甘言が後押しになって現状を作り出してしまったわけなんだけれども、それがあってもなくても文世は間違った方向にいってたのかもなぁ…とも思ったり。彼って行き着きたい結末は基本変わってない。
彼のENDは完全にさとみくんを自分に依存させ、閉じ込めてしまう生活。多分これ薬か注射かの、怪しい薬使ってますよね…さとみくん、思考力もすぐになくしてしまう感じでテキストの台詞とかめっちゃ不穏だったし、心壊れてるっぽかったよ…( ̄▽ ̄|||)
でも文世さんは幸せそうでした。まあ、ずっと望んできた形だもんね…。
これぞメリバな文世ENDでした。

ラムシン CV:内村 遥汰郎

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個性的な口調と一人称で、飄々とした明るさの19歳。闇社会の住人で人体部品屋。そらもう遠く彼方まで逃げたくなる程の慄く設定。人間を「お肉さん」って言うしっ。
染くんの殺人現場に居合わせた事から業務提携を持ちかけて以降、仕事の協力者でありながら友人関係も築いているんですが、この二人の関係性が意外にも死を纏うお話の中において温かさを与えている気がします。
一見、死を象徴する二人なのに文世や八渕と違って生きている温度を感じるんですよね。やってる事はえぐいのに、人の温かさも持っている。
やー、もー、設定怖すぎだしまっくろくろすけな犯罪に身を染めてるんですけど、けどっ!ラムシンくん好きですっ!
いつもならこういったサイコで小悪魔的な感じのキャラは苦手なんですけど、染に対する友情が滅茶苦茶優しい。
さとみくんの心臓病が本当は完治している事実を突き止め、染がそれを知れば今の闇社会から抜けてしまうだろう事、二度と自分と会う事もなくなってしまう別離になるだろう事、友だと思っている相手に与えるものがとてもあたたかく優しい。
染の最期を迎える時に「来世で」と、告げるスチルの恰好良さったらない。
出来ればもっともっと出番増やして、エピソードも増やして、染とのシーン、またさとみくんと三人一緒でワイワイしてる、そんな姿も見たかった本当に本当に素敵過ぎる彼でしたっ。

 

八渕 影美 CV:江戸 曲輪

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最恐。怖いしかない(笑)。
文世さんの過去回想のみの登場で、しかも少しだけであるにも関わらず、その唇から紡ぎだす言葉だけで、文世さんに甘い毒を侵食させた人物。
吐き出される言葉が鋭利で、空気が変わるんじゃないかみたいな冷たさを感じました。
この人の「馬鹿は使い捨てて、塵は踏みつけろ…ほしいものがあるなら何も恐れずに掴み捕ってしまえよ」に、心底怖っ…!って呟きましたとも。しかも『取る』じゃなくて『捕る』って部分がうわー…っ( ̄▽ ̄)になった自分。
本編では登場回数がとても少なく深く掘り下げられてはいないので、謎めいた人物のまま。もっと詳しく知りたかったなぁ、とも思います。

 

それでは!